2005-06-30
■[囲碁]碁盤が19路である理由
よく三線は実利線、四線は勢力線と言ったりする。これは碁盤の大きさとは関係なくローカルな事情できまっている。つまり、三線の下にもぐりこむのは難しいが四線の下にもぐりこんで生きるのは比較的容易という理由による。
さて、三線で囲った辺の地と四線で囲った中地を比較してみよう。
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤ ├┼○○○○○○○○○○○○○○○┼┤ ├┼○●●●●●●●●●●●●●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼●○┼┤ ├┼○●●●●●●●●●●●●●○┼┤ ├┼○○○○○○○○○○○○○○○┼┤ ├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┤ └┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘
この図は普通、中地が見た目より小さいということを示すために使われる。19路だと黒地121目、白地136目。
ところがこの差が一番小さいのは奇数路盤の中では実は19路盤なのだ。
n路盤だと黒地は(n-8)^2、白地は(n-2)*2*4。差を取ると、
(n-8)^2-(n-2)*2*4 =(n-20)(n-4) =(n-12)^2-64 .
n=20のとき差は0になるが、奇数路ではn=19のときが一番0に近い。
この図は白石の方が8子多いので、単に地を比較するのは公平でないかもしれない。そこで一子あたりの地を比較してみると、計算は略すが、下の表のようになる。
n B W B-W 14 1.286 2.667 -1.381 15 1.531 2.600 -1.069 16 1.778 2.545 -0.768 17 2.025 2.500 -0.475 18 2.273 2.462 -0.189 19 2.521 2.429 0.092 20 2.769 2.400 0.369 21 3.018 2.375 0.643 22 3.267 2.353 0.914 23 3.516 2.333 1.182 24 3.765 2.316 1.449 (Bは増加関数、Wは減少関数だから、B-Wは増加関数です。)
やはり、19路のときに差が最も小さくなる。
つまり、実利を取るか外勢を取るかの選択が最も難しいのが19路盤なのだ。これが碁を面白くするのは言うまでもない。碁盤の大きさが19路なのはこの辺も理由になっているのかもしれない。